お酒は販売する方法によって免許が違う
お酒は、税金の徴収するため様々な方法で販売方法等を決められている。
- 1.酒造
- 2.卸し
- 3.小売店頭
- 4.小売通信販売
- 5.輸出入(貿易)
- 6.期限付酒類小売業免許
- 7.飲み屋
- 8.番外
6.までは 酒税法で免許がないと営業できないが、7.は保健所等の許可があれば大丈夫で比較的簡単に許可が降りる。
1.酒造について
「酒類製造業」とは、厚生労働省では酒類(アルコール分1度以上の飲料)を製造する営業」と定義されている。
酒造の酒類は15種類に分かれていて、同じ焼酎でも連続式蒸留焼酎の免許があっても単式蒸留焼酎は作れないなどに厳密に分かれている。
最近流行りのクラフトビールはビールではなく発泡酒で免許を取ることが多いそう。
ビールは年間の製造量が60KL作らないといけないのに対して、発泡酒は6KLでOKなのでハードルが下がる。
大まかに、発泡性酒類、醸造酒(清酒やワイン)、蒸留酒(ウイスキーや焼酎など)、混成酒(果実などを蒸留酒などに漬け込んだもの)に分けられていて、焼酎は連続式と単式蒸留に分けられていて、昔の甲種焼酎と乙種焼酎のことでなぜ分けられているのかは不明。
酒造には、これだけの種類があり、各項目ごとに免許が必要で、最低限作ら無いといけない容量も設定されている。
清酒だけ別扱い
清酒とは、穀物を醸造して濾したものいい、濾さないで販売すると、どぶろくになりますが、そのまま清酒とし販売できないので、その他の醸造酒にカテゴライズされます(別の免許になる)。
似たもので、おり酒というものもありますが、コチラは清酒と同じく濾す作業がありますが、目の荒いモノで醪(もろみ)を濾すので、酒中の澱(おり)が残った状態にするので白濁したお酒が出来上がり、コチラは清酒に分類されます。
現在では新規で清酒の免許は付与されないらしい。
もし清酒の酒造免許がほしいという人は既存の酒造メーカー(法人)をM&Aで買収するしか無いそう。
個人経営の酒造メーカーは親族に対してのみ譲渡が可能で、法人化すると免許が無くなり、一から取得できないので廃業するしかない。
他の免許者も、個人で開業して儲かったから法人化しようとしたら出来なかったということもあるそうなので、始めるなら法人化してからする方が良い。
例外的に海外にのみ輸出するのであれば免許が下りるらしい。
自家製の梅酒について
自分で消費する程度の量なら免許は不要。
居酒屋やペンションなどで提供するために造っている場合は事前に税務署に申請が必要。
販売目的で梅酒を作る場合は酒造免許が必要。
生産設備はビールほどではないので酒造をやってみたい人はこの免許で果実酒で始めるのも良いかも、と言ってもそれなりの金額が必要なので、まずは酒販免許を取って、酒造メーカーにOEMで自社ブランドのモノを造って貰い、売れそうだったら酒造メーカーになる方が良いでしょう。
2.卸し売りについて
平成24年9月より新たに3つの区分が新設され、全部で8区分にカテゴライズされている。
当店のような小売店に対して卸売する免許で、一般の消費者に対して販売はできない。
1.全酒類卸売業免許
すべてのお酒を卸売することが出来る免許。
数に制限があり、空きができたときのみ抽選で選ばれ、更に経営的な面も見られかなりの大手でないと付与されない。
2.ビール卸売業免許
ビールを卸売することが出来る免許
コチラも空きが出来たときのみしか申請できないし、各都道府県で年間1件程度しか付与されていない。
3.洋酒卸売業免許
清酒や焼酎など以外のういすきーやスピリッツなどが卸売できる免許
4.輸出入酒類卸売業免許
海外から輸入されたもののみ卸売できる免許
5.店頭販売酒類卸売業免許
自社もしくは自身の運営する会の、会員である酒類販売業者に対し、店頭で直接引き渡すやり方でのみ、お酒を卸売することができる免許
6.協同組合員間酒類卸売業免許
自社もしくは自身が加入する事業協同組合の組合員に対し、お酒を卸売することが可能。
7.自己商標酒類卸売業免許
自ら開発した商標または銘柄のお酒を卸売できる免許。
8.特殊酒類卸売業免許
酒類製造者の本支店や出張所に対して
酒類製造者の企業合同に伴う
酒類製造者の共同販売機関に対して
など、特別の必要に応ずるための免許
3.小売免許について店頭小売
小売免許についてもカテゴライズされていて、昔からある免許で、街の酒屋さんなどがコレに当たる。
この免許は通信販売ができないのと、免許のある都道府県以外で販売ができない。
当店のように大阪に免許がある場合は隣の奈良や和歌山などの人に販売がでいない。
厳密に言えば県境の道を隔てたら隣の県と言う立地の酒屋さんでは、その人に販売ができないルールになっている。
コンビニなどだと普通に買っていくが、お客さんは何処から来た人か判らないのに変なルールではある。
ヤフオクなどを見ていると、〇〇県以外の方への販売ができませんなどと書かれたモノを見るが、それは免許が関係しているから。
4.小売免許について通信販売
免許地のある都道府県以外のお客さんに販売することが可能
ただし、輸入酒に限る。
条件緩和
清酒を販売したい場合、製造している酒蔵から証明を貰えれば、税務署に申請してOKが出れば、販売したい酒の酒蔵が3000KL以内の製造量であれば、清酒に限り販売が可能になるというもの。
その酒蔵が造っている酒だけなので、清酒しか造っていない場合は清酒のみで、焼酎やその他の酒類は別で頼まないといけない。
いわゆる3000KL規制
条件緩和をしてもらうと、前年度の製造量が3000KL以下の酒蔵の製造した酒に限り販売が可能になる(一つの酒蔵から証明を貰えれば全国の酒蔵の酒が販売できる)。
その酒蔵で、清酒と焼酎を作っていた場合、清酒が2000KLで焼酎が2000KLだと4000KLで規定をオーバーするが、酒類ごとに3000KLなのでOKである。
ただ、清酒が沢山できて一杯売れたので4000KLで、焼酎が2000KLの場合は、清酒の販売ができないが、焼酎は販売可能。
仮に、ウイスキーの3000KL規制の条件緩和をしてもらっても、山崎や白州などは3000KL以上の容量を作れる大手なので販売ができない。
白鶴や月桂冠、日本盛などの大手も無理。
ゾンビ免許
昭和の時代以前に免許を取得した酒屋はその当時、ネットなど無かった為、通信販売の免許を取らなくてもすべてのメーカーの酒を通信販売可能で3000KL規制など無い。
5.輸出入酒類卸売業免許
実際には「輸出」と「輸入」で、別の免許になるので輸出で免許をもらっても輸入はできない。
これらは、主に卸売のカテゴリーに属するので細かく分かれている。
輸出に関しては、酒の酒類ごとに免許が分かれていたり、全酒類可能だったりと税務署によって対応が分かれることもあるそう。
詳しいことは最寄りの税務署の酒税担当官に問い合わせてください。
6.期限付酒類小売業免許
コレは特殊な免許で、上記の1から5までの免許がないと申請できない免許で、免許地以外のところで販売する際に、一時的に付与される免許。
イベントなどに出店する際にはこの免許を申請しないといけない。
申請には、開催者との契約書の写し、販売場所の明確な位置の地図のほか、小売免許を取得するのと同じくらいの書類を出して、当該箇所の最寄りの税務署に申請しないといけない。
終わったら、販売リストとともに販売した量や金額をまとめて報告も必要。
当店も京都の東寺と言うお寺で開催される弘法市という催事に参加するために取得していたが、採算が取れないため辞めてしまった。
7.飲み屋
コチラは小売店などから購入した酒を提供する販売形態をいい、その際には封を開けて提供しないといけない。
缶ビールをそのまま出すようなところはほとんど無いし、生ビールやチューハイならジョッキやコップに注いで提供されるので大丈夫でしょう。
8.番外
ヤフオクやメルカリなどで個人がお酒を販賣するのは違法?
かなり曖昧なところがあり、税務署の判断としか言えないのですが、基本的には販売を業として行っているかどうかと言うところらしい。
酒税担当官曰く、個人が飲まなくなったお酒を処分するためにオークションなどで販売するのは業ではないのでOKだが、定期的に販売しているような人は業と見なされるそう。
ヤフオク代行のようなことを個人でやっているような人は業とになされ査察の対象になるでしょう。
また、結構やってるけど連絡など来たことがないと思っていても、税務署はそんな販売者を泳がせていて、熟した頃に狩りに行くらしい(笑)のでご注意を。
まとめ
酒は税収にとって重要なものとして色んな税金が掛かっている。
納得がいかなかった事あがあったので酒税担当官に確認した事があるのだけど、お酒って酒税が載せられた状態が小売価格として販売されているが、そこに消費税が掛かる。
いわゆる二重課税に当たるのでは?と聞いたら、確かに二重課税に見えるが、酒税は原価と見なされるとの事。
はっきり言って納得はいかないが、揉めてもしょうがないので「変な理屈ですね」とだけ言っといた。
ガソリン税も同じ理屈なんだろう。
私がこの記事を書きました